結婚指輪の由来について教えてください。
ご質問ありがとうございます!結婚指輪の由来ついてご案内させていただきます。結婚が決まったらまず思い浮かぶのはウエディングドレスとダイヤモンド、そしてお揃いのペアリングでしょうか?やはりイメージにも男女がお揃いの指輪を交換し合っていつもお互いが傍に居るようにと言う意味でつける結婚指輪は既婚の証ですよね。そんな結婚指輪ですが、何時頃から私たち人類は身に着けるようになったのでしょうか?
ローマ教皇ニコラウス1世が自身の結婚式で交換した
結婚指輪を男女で交換するようになったのは9世紀いまから1000年以上も前の事なんですね、時のローマ教皇であるニコラウス1世の結婚がその由来とされています。ローマ帝国と言えばキリスト教カトリックなので、宗教的な事を考えるとキリスト教の式典で使われたのが最初ちう事ですね。ローマ教皇は今もヨーロッパを中心に大きな力を持っており、イタリアの中にバチカン市国という国家を運営しています。またヨーロッパでは日本の天皇の様な人々の象徴的な存在として君臨しています。
そのニコラウス1世は自身の結婚式で、花嫁に金の指輪、花婿である自分は鉄の指輪を着けて、お互いの分身として交換したとされています。キリスト教カトリックでは不倫や離婚は認められていない時代でした。
この後に少しずつ結婚指輪の交換が広まっていき、13世紀には今と同じように男女間で結婚指輪を交換することが一般的となりました。日本では何時頃から結婚指輪は着けている?
結婚指輪の習慣は、日本では昭和40年頃に生活の欧米化に伴いポピュラーになった習慣だそうです。確かに江戸時代の日本人がペアリングをしているのはイメージにもありませんね、結婚指輪の交換が始まったのは9世紀なのですが、交換しない結婚指輪の歴史は古く、ヨーロッパでの古代ローマ時代に遡ります。初めは鉄製の指輪だったのが、2世紀頃から金製になったとされています。
結婚リングはこの頃『契約』の意味があったとされています、もっとも王侯貴族やとっても裕福な方だけのたしなみで社交の場などで『既婚』である事を示す目印の様なものだったようです、今も昔も人の気持ちは変わりませんね。しかもこの頃リングを着けていたのは女性の方で、完全に男性の持ちものとしての目印として使われていました。しかし、徐々に女性の社会進出が進みお互いに交換するスタイルに変化していきます。
ちなみにローマでは5世紀頃から日常的に結婚指輪を身につける習慣が生まれましたが、キリスト教で結婚指輪を認めるようになったのは11世紀ころであり、このころから左手の薬指にはめるようになり世界に広まったといわれています。
当時左手の薬指の血管は心臓につながっていると考えられていて、(古代エジプトの呪術医学書による)この指にはめれば心に愛情が伝えらると言い伝えられています。
※実際には薬指が一番力の入らない指でいつもリングを着けていても日常生活で邪魔にならない指だからであるという『夢』の無い定説も有名です。また英語で薬指はリングフィンガーと呼ばれ指輪を付ける為の指とも言われています。
ペアリングとマリッジリングの違いとは
結婚指輪とパートナーリング、ペアリングは何が違うのでしょうか?明確な定義は在りませんが、私たち宝石商的な回答ならございます。それはリングの素材です。ペアリングはお互いの関係がまだまだ不安定、長い間ケアしないと変化してしまう為に、経年変化する素材を選びます。代表はシルバー(SV925)です。シルバーの加工の歴史は古く、ジュエリーとしてもポピュラーな素材ですが、なぜか結婚指輪には使用しません。何故なんでしょうか?それはシルバーが空気に触れていると酸化するからです。
逆に恋人同士などの結婚前のカップルにはペアリングの素材としてシルバー925はお勧めです。長く使ているとシルバーは黒ずんできます。お互いの相手を長くケアしないとリング同様に「黒ずんでしまう」と言う意味でシルバーが人気なのです。リングの手入れと同じくらいお互いの気持ちを手入れして、長く良い関係を築くためにもシルバーのペアリングはお勧めの素材と言えます。
しかし、結婚指輪はお互いの関係が最早不変なものであるという証に経年変化しないプラチナやゴールドの素材を選びます。ダイヤモンドの婚約指輪が登場
現在、婚約指輪はダイヤモンドか誕生石(硬度が高く永遠性が高い宝石がお勧めです)、結婚指輪はシンプルなデザインの金やプラチナ製が多いそうです。ダイヤモンドが婚約指輪として登場するのは1477年です。ブルゴーニュのマリー姫に求婚したオーストリアのマクシミリアン王子はマリーの父でローマ皇帝になる野望を抱いていたシャルルへのオマージュでダイヤモンドを贈ったと言います。
ダイヤモンドは大変固い素材だった為にこの時代までまともに加工出来ませんでした。その為、ダイヤモンドは多くの場合、原石のまま指輪にや留められていたようです。しかし、マクシミリアンはダイヤモンドを磨きあげてエンゲージリングとして贈ります。
ダイヤモンドは美しい輝きを持つのですが、この頃はダイヤモンドを加工する技術が人類に無く、ダイヤモンドは単純にその硬さが宝石としての価値でした。その為、光り輝く宝石と言うよりも固い宝石として知られていたのです。ダイヤモンドは天然の鉱物の中では最も硬い物質で「不屈の精神、永遠の絆、約束」を示します。マクシミリアンが磨き上げたダイヤモンドを贈った事で貴族の間でダイヤモンドを加工し光り輝かせそれを婚約の証とする風潮が生まれたのです。
この事から男性と女性を結び付ける「永遠に続く愛のシンボル」として婚約指輪に装飾する宝石として選ばれていくようになるのです。
ダイヤモンドもまた永遠の輝きの中に決意や熱意を込めて贈る物なのです。戦争でも引き裂けない二人絆を作り続けた伝説のアトリエ
先ほど、古代ローマ時代には結婚指輪は鉄製のモノだったとご説明しましたが、そこには感動的な話があります。BROOCH新潟に取り扱いのあるドイツ老舗ケ近指輪ブランドの「CHRISTIAN BAUER(クリスチャンバウアー)」に伝わる逸話です。クリスチャンバウアーは誕生から100年以上と歴史の長いブランドです。しかもドイツはウエディングバンドと言う女性用は必ずダイヤモンド入りで埋め込み普段使いと言う新しいジャンルを確立した国柄、そこには多くの伝説や逸話が有るのですがその中の結婚指輪に対する想いのお話です。
第一次世界大戦中、クリスチャンバウアーは密かに結婚指輪をつくり続けていました。戦火に離されたふたりを繋ぐ唯一の絆の証です。それは鉄で作ったリングでした。
第一次世界大戦中は、軍司物資の供給を強いられ、戦争に必要のない物をつくる事など許されなかった時代でした。シルバーやゴールド等の素材が入手困難であったとしても、たとえそれが社会的に背徳行為だったとしても、愛するものどうしの強い絆の証のために、結婚指輪はつくり続けようという熱い想いの中で手にした素材、もっと正確に言えば、唯一、手にすることができた素材が鉄でした。そこでバウアーの職人達は本来鉄砲や武器製造に使わなければならない鉄でウエディングバンドを作って戦地へ赴く兵士と、国で帰りを待つ妻との繋がるとなる指輪を作り続けたというのです。
しかもこのクリスチャンバウアーのアトリエは奇跡的に第二次世界大戦の戦火を逃れ、いまも当時のまま当時の場所に有ります。ヨーロッパ全土が焼け野原となった大きな戦争だった事を考えると奇跡的な事です。事実同じドイツの結婚指輪ブランドでもバウアー以外は大戦でアトリエや本社社屋が全半壊してしまった所しかないのです。
何世代の時代を経ても、結婚指輪に込められた想いは変わりません。愛と絆の証こそが結婚指輪を着ける意味だと思います。