ダイヤモンドの品質基準4Cを定めるGIA
宝石学と宝飾品アート分野における企業や会社へ宝石教育を提供し貢献する非営利の宝石研究機関として展開されるアメリカの鑑定鑑別機関G.I.A.によってダイヤモンドの評価基準4Cは国際的に定義されています。
ダイヤモンドの美しさは【原石とカッター】で決まり、希少性と価格は【4C】によって判断されます。ダイヤモンドを選定する際に重要な原石、カッター、4Cこのうち4Cとは評価基準となる項目が4つ有る事で4Cと呼ばれています。日本国内では殆どの場合このGIA方式でダイヤモンドの価値判断を行っており、ブローチでメインに使うCGL中央宝石研究所もGIA方式を採用しています。
このうち透明度の等級であるクラリティについて解説ましす。
クラリティグレード
炭素の結晶が多重結合体しているダイヤモンドですが内部には結晶化しなかった炭素や結晶化した際に僅かにダイヤモンドに取り込まれた不純物がかすかに内包されている場合があります。
この内包物をインクリュージョンと呼び、さらに透明度を妨げるキズ、ブレミッシュ等を合わせて、価値を判断します。これらが少ないほどダイヤモンドの価値は高くなります。
大半は肉眼で発見できないものばかりですので10倍の拡大鏡(ルーペ)や宝石用の顕微鏡を用いて鑑定することが通例です。
全くの無傷でインクリュージョンが無いダイヤモンドが最高とされ、内包物の量が増すにつれて価値が低くなります。
ランクは11段階で評価されます。
ダイヤモンドの評価基準である4C、Carat(カラット)ダイヤモンドの重さ、Collar(カラー)ダイヤモンドの色、Clarity(クラリティ)ダイヤモンドの10倍拡大での透明度、Cut(カット)輝きの4項目でダイヤモンドのグレード評価をします。
その中の透明度グレードをクラリティと呼びます。BRIDGE銀座 Antwerp brilliant GALLERYでは10倍の顕微鏡では内包物の発見が困難とされるVS2(エスアイツー)以上のグレードでご案内しております。
※ご希望によりSi1グレードも用意しておりますので店頭スタッフまでお問い合わせください。
宝石は本来的には不完全
ダイヤモンドを含む天然石は”不完全な中に美しさを見出す”のが通常です。しかしご婚約用のダイヤモンドは無傷、無欠点、無垢等、結婚を連想させるイメージが大切であるとされるため、一般的な宝石とは違う部分を求められる場合が多いようです。
ダイヤモンドは地中深く地球内部の非常に高温高圧な条件下で生成されます。
ダイヤモンドの正しい形は6面8面12面等の等軸状正結晶なのですが、当然ながら過酷な環境で生成されるダイヤモンドは均一な形で産出してくれません、多くの場合はダイヤモンド以外の物質を含んだりダイヤモンドの中に別のダイヤモンド結晶が入り込むなど様々な不純物(インクリュージョン)を含みます。
また過酷な条件下ですので成長線がゆがんだり結晶構造が曲がってしまう事も、伴って出来る亀裂や結晶の不足等が有る場合もあります。それら不完全部分がどの程度あるのか?を測定するのがクラリティグレードです。
宝石学では専用の顕微鏡でそれらを観察しダイヤモンド結晶した時代や、内部に残った僅かな情報を頼りに産地や産状を想像したり想いを馳せるのはとてもロマンティックです。
グレードとしてのクラリティ
4Cの評価基準では10倍の拡大鏡で観察してどの程度の割合で不純物や不完全部分が有るのか?を測定します。
無欠点フローレス(Frawless)からインクルーデット3(Included3)の11段階に評価されます。上に行くに従って希少性が高まります。FLフローレス,IFインターナリーフローレスはダイヤモンドが天然石である以上結晶内部に何も不純物を含まない事は非常に稀であり、とても希少性が高いグレードと言えます。
FL フローレス 内外部無欠点
IF インターナリーフローレス 内部無欠点
VVS1 ブイブイエスワン とてもとても微細な内包物あり。
VVS2 ブイブイエスツー とてもとても微細な内包物あり2
VS1 ブイエスワン とても微細な内包物あり
VS2 ブイエスツー とても微細な内包物あり2
SI1 エスアイワン 微細な内包物あり
SI2 エスアイツー 現在取り扱いがございません。
I1 アイワン 現在取り扱いがございません。
I2 アイツー 現在取り扱いがございません。
I3 アイスリー 現在取り扱いがございません。
クラリティグレードで避けるべきは割れや欠けに繋がるかもしれないインクルージョンを持つダイヤモンドですがあらかじめその様なダイヤモンドは店頭に並びませんのでご安心ください。
無傷無欠点は婚約のイメージにピッタリ!
ご結婚、ご婚約のイメージとして無傷無欠点無垢などが有り、クラリティーグレードが高い透明で透きとおる様なダイヤモンドのイメージにピッタリです。
そなんな事からブライダル用のダイヤモンドグレードとしてはクラリティーを重要視して選ぶカップルが意外と多いのです。
BROOCHでも人気のグレードはVVS1(ブイブイエスワン)そしてVS2(ブイエスツー)次いでVS1(ブイエスワン)VVS2ブイブイエスツーと続きます。事実上の最高グレードVVS1が人気なのは判るとしても多くのカップルが2番にVS2を挙げるのは不思議ですよね?
これはVS2(ブイエスツー)までは肉眼で見ても不純物が非常に見えずらいことが原因なのではないかと思います。顕微鏡を使ってダイヤモンド鑑定士が丹念に見れば不純物を発見できるレベルがVS2ですので、実際の美しさで比較した場合にはVS2とVVS1ではそこまで大きな差は無いことが原因と思われます。美しさにはそこまでの差のないVVS1とVS2には希少性に大きな差があるのです。
4Cはそもそも美しさの等級ではありませんが、余りにもクラリティーグレードの低いダイヤモンドは目視で欠点部分が見えてしまったりする場合があります。そしてクラリティ低グレードの多くが黒い結晶や欠点などで美しさを損なうような内包物が入っているのです。その為VS2以上の透明度で比較する場合はクラリティグレードは美しさというよりも希少性の等級といえます。
あえて低グレードのクラリティを選ぶメリットとは?
中には特殊かもしれませんが、Si1等の美しさを損なわないがグレードとしては控えめなダイヤモンドで内部に特徴的な内包物があるダイヤモンドを選ばれる場合もあります。BROCOHではフィリッペンス・ベルト氏の”お任せグレード”などがそれにあたります。SI評価と成ったとはいえボツワナ産最高品質原石のダイヤモンドから世界最高の研磨師が研磨したダイヤモンドです、その美しさに疑いは在りません!
美しさを損なわないSi1、ダイヤモンドの内包物はよく人の顔の中にある”ほくろ”に例えられる場合があります。
上写真のダイヤモンドは鑑定機関IIDGRにてSI1評価を受けたアントワープブリリアントのダイヤモンドです。写真のダイヤモンドの9時方向(8:30頃)の外側、アッパーガードルファセットに二つのクリスタルインクリュージョンが見えます。これは40億年前にダイヤモンドが結晶した際にダイヤモンド内部に取り込まれた別の結晶のダイヤモンドです。
デザイン枠にセットすると、爪の下に隠れて見えなくなてしまいます。欠点と見れば欠点に、特徴とみれば特徴となる内包物です。人の顔で例えると”ホクロ”等もそうですがサイズと場所によっては欠点ではなく魅力的な場合が稀に有ります。
ダイヤモンド内部の透明結晶はオリビンかエンスタタイト、もしくはダイヤモンドです。内包物は結晶状況下で受けていた圧力と温度から地上の圧力と温度ではそれぞれに膨張率や伸縮率が異なるためダイヤモンド以外の結晶は多くの場合レリーフに圧力の跡が見れる場合があります。
一方ダイヤモンドの場合は同じ伸縮膨張率なので美しいレリーフになることが多いようです。※顕微ラマン分光分析等の光学機械を使うと明確な判断が可能です。
ダイヤモンドに内包されるダイヤモンドは本体のダイヤモンドよりも古い結晶であると考えられます。思いを込めて贈られるダイヤモンド受け継がれるダイヤモンドに相応しい「過去を内包し現在がある」そんなダイヤモンドです。
上写真のダイヤモンドは中心付近にフェザーインクリュージョンが見えます。40億年前ダイヤモンドが結晶する際に外部的な何らかの圧力を受けて出来たインクリュージョンです。
一見”タツノオトシゴ”のようにも見える内包物、特別な模様の付いたダイヤモンドと思えば特徴ですが、傷と思えば欠点となります。
ダイヤモンドの内包物は美しさを損なわない大きさと色で、且つ特徴としてプラスにとらえる事が出来れば”魅力的な欠点”になるかもしれません!?
確かにダイヤモンドの中に世界に一つだけの印が付いているなんて素敵ですよね?
※非常に特殊ですのでいつもでもご案内できる訳ではありませんのであらかじめご了承ください。
例外を除きクラリティ―グレードはVS2以上で比較する場合、美しさの基準ではなく希少性の基準であることを頭に入れて選ばれるのが良いでしょう。
グレード以外で注意する点それは・・・
ボツワナ産最高品質原石のダイヤモンドから研磨されるBROOCHのダイヤモンドでは見ないのですが、BROOCHでも通常のマーケットでダイヤモンドを選定する際にグレードの他にいくつか注意してチェックしている点が有ります。
4Cグレードのクラリティ―ではクラウドと呼ばれる微細なダイヤモンドの結晶の集合が有る場合があります。クラウドはその程度にもよりますが、あまりにも多くのクラウドを内包したダイヤモンドは「透明な水に牛乳を垂らした」ような見た目になってしまい美しさを損ないます。
それだけではなくダイヤモンド内部に入射した光は微細な内包物ぶつかると、そこで乱反射したり不要な光の屈折を起こしたりして、ラウンドブリリアントカットダイヤモンド本来の輝きからは程遠い輝きになってしまう事も・・・
更にはこうしたクラウドインクリューションの中に有るクラリティグレードでは判別しない超超微細なサイズも問題です。
一般に鑑定鑑別機関では5ミクロン以下の内包物は内包物としてカウントしないためクラウド状態にまで密集していない微細な内包物が点在している状況のダイヤモンドは評価は高くとも輝きはそこまででは無いという状態になります。
中にはクラリティ―評価最高グレードのFLフローレスが出ているのに超微細インクリュージョンの分布度合いで輝きが今ひとつ なんてこともあるかもしれません。
BROOCHではそうしたダイヤモンドを排除しております。その方法は単純と思われるかもしれませんが、鉱山での原石選定段階で行います。ダイヤモンドには原石マーケットが存在しています。研磨する前の原石でダイヤモンドは評価され価格が付けられて取引されているのです。研磨済みダイヤモンドの美しさは【原石の良し悪しとカッターの腕前】で決まると言われているのですが。研磨前のダイヤモンド原石は何で評価されているのでしょうか?
それはダイヤモンドの結晶系の形とその形がいかに整っているか?なのです。ダイヤモンドの原石については原石のコラムで詳しく紹介したいと思いますので、そちらをご参照ください⇒ダイヤモンド原石ROUGHラフ
ボツワナの上質原石とは
BROOCHの展開するアントワープブリリアントのダイヤモンドはボツワナ・ジュワネング鉱山を中心に操業されるデブスワナ(デビアスグループ)の原石をメインに取り扱います。デブスワナでは採掘されたダイヤモンド原石を選定しますが、アントワープブリリアント用に選定している原石はその品質がTOP0.96%以内と上位1%の高品質だけを選び出しています。
どんな原石からどんな研磨済みダイヤモンドを切り出す事が出来るのか?ガイドラインは最新のレーザースキャンで導き出されるとしても実際の技術的な作業は人間の審美眼を用いて行わなければならないので熟練のダイヤモンド選定技術を必要とする作業です。
BROOCHでは鉱山企業で原石を選定し、それをさらに専属研磨師のフィリッペンス・ベルトが最終的に存在美を見抜いて選定しています。
通常のダイヤモンドマーケットには原石のグレードは高くない場合でも4Cハイグレードは出現してきてしまいます。グレードだけでダイヤモンドを取扱おうとすると、希少性とお値段は整合性が取れるのですが、美しさはバラバラになってしまうのです。同じ4グレードなのに販売店舗によってダイヤモンドのお値段が異なる1つの原因ともいえるのです。
BROOCHの展開するアントワープブリリアントでは鉱山会社、と最終研磨者であるベルト氏以外にもサイトホルダーのグレーダーで熟練のダイヤモンド選定師を専属でこの作業にあたらせており、「グレードは高いが輝かない」ダイヤモンドを徹底的に排除しているのです。
ビックリするかもしれませんが私たち宝石商は宝石を選ぶ際に大事にしているのは「ぱっと見!」パッと見てキレイだと感じたものを積極的に選んでいきます。”ハッ”とするような第一印象の宝石の美しさは理屈では説明できないモノでもあります。
ルーペや宝石の鑑定鑑別用の機材もパッと見て美しいと感じた宝石にしか使いません。
ルーペや顕微鏡をパッと見て美しさが足りない、何か違和感のある宝石に対して、その原因を突き止める為に使う事が有りますが稀です。BROOCHではそうしたグレード以外の宝石の品質管理を徹底しているのです。
クラリティグレードは奥が深いです。